都市型養豚で安全・安心な豚肉を
消費者に届ける
厚木市には40年前、約300軒の養豚場があったが、都市化の波の到来とともに住環境への影響が拡大し、徐々にその姿は減少しました。古性さんは、周辺農家や消費者、地域とのつながりを大切にし、都市型養豚を確立しています。
古性さんは、県農業大学校を卒業後18歳で就農。50年ほど前、近隣の工業団地ができたことをきっかけに食品残さを回収し、エコフィードを利用することで地域資源の循環とコストの削減に取り組んできました。長年研究を重ね、食品残さに適切な温度の殺菌処理を徹底したエコフィードに加え、発酵飼料と圧ペン大麦を独自の割合で混合し、飼料にすることで濃厚な味わいが特徴の良質な豚肉を生産しています。
現在、母豚約25頭で高い繁殖技術により年間約500頭を生産。小規模経営を生かして衛生管理や健康状態の把握、繁殖雌豚の観察などを確実に行いっています。
2009年12月のJAあつぎ農産物直売所「夢未市」の開設により販売に重点を置き、精肉店に加工を委託し「依知のえどや豚」として販売を始めました。安全・安心な豚肉を消費者に届けるため農場HACCP認定にいち早く取り組み、神奈川県下で初の認証農場となりました。この取り組みにより、科学的根拠をもとにした安全性の裏付けのある豚肉の提供へとつながっています。認証にあたっての記録の徹底はトレーサビリティを可能にし、直売所や取引精肉店の店頭に、出荷豚の生年月日、出荷日齢、母豚名などの情報発信をしています。
古性さんは「都市型の小規模経営を続けるためには、環境やコストを考えるとともに、高付加価値販売が重要となる。また、若い後継者の発想力が新たな取り組みへの大きな力となっている。今後、日本の養豚を取り巻く情勢が厳しくなる中で、消費者に安全・安心な豚肉を届けられるよう管理、積極的な情報発信に努めていきたい」と話します。