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用語集

被相続人・相続人

 被相続人とは、亡くなられた方のことで、財産を残した人です。相続人は、亡くなられた方から財産をもらう人です。法律で定められた相続人は「法定相続人」といいます。
 法定相続人は原則、「配偶者」と「子・親・兄弟姉妹のいずれか」になります。

代襲相続

 被相続人の子・兄弟姉妹が相続開始前に死亡している場合には、被相続人の子の子(孫)、被相続人の兄弟姉妹の子(甥・姪)が相続人となります。
 この孫、甥・姪等を「代襲相続人」といいます。

戸籍謄本・戸籍抄本

 戸籍とは日本国民の身分を公に証明するもので、日本国民についての出生・親子・養子・婚姻・離婚・死亡などを証明するものです。戸籍謄本は戸籍の内容を証明するために謄写した書面をいいます。

除籍謄本

 一つの戸籍にいる人全員が結婚や死亡等で抜けて、誰もいなくなった戸籍の内容を記載した文書のことです。そして、この除籍された戸籍全部の写しを除籍謄本といいます。

改製原戸籍謄本

 戸籍は明治5年にその原型となるものが作られ、明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年に戸籍法が改正され、その形を変え作り直されています。これを「改製」といい、改製される前の戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。

遺言書

 遺言書は、被相続人が生前に、誰が、どの財産を、どの程度の割合で相続するのかを指定するものです。遺言書は、作成方法や保管方法の違いから①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3つの種類があります。なお、①③については、家庭裁判所の検認が必要になります(法務局保管制度は除きます)。

遺産分割協議書

 相続人の間で、遺産の分割方法を相談して決めることになった場合、遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議は、相続人全員が参加して行わなければならず、この協議の結果を示す書類のことを「遺産分割協議書」といいます。
 なお、相続人が1人の場合、その相続人がすべての遺産を相続することが明らかなため、遺産分割協議を行わないことから、遺産分割協議書を作成する必要はありません。

遺言執行者

 遺言書により指定され、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことを「遺言執行者」といいます。遺言執行者は相続人全員の代理人とみなされ、遺言の執行に必要な一切の行為をする権限と義務があるとされています。
※遺言執行者の権限は、遺言の執行に関することに限られるため、遺言に記載のない財産等については、執行権限がありません。
遺言執行者の選任方法には以下があります。
① 遺言者が、遺言で、一人または数人の遺言執行者を指定する場合と、その指定を第三者に委託し、委託された人が遺言執行者を指定する方法があります。
いずれの場合も、指定された遺言執行者が遺言執行者になることを承諾する必要があります。
② 遺言に遺言執行者の指定がない場合や、指定された遺言執行者が承諾しなかった場合、また、遺言執行者が亡くなった場合などには、利害関係人が家庭裁判所に「遺言執行者の選任の申立て」をすることができます。

遺言執行者選任審判書

 遺言執行者が遺言書で指定されておらず、または遺言執行者が死亡しているときに、利害関係者が家庭裁判所に申し立てし、遺言執行者が専任されている場合に、家庭裁判所から遺言執行者の身分を証明する書類として発行される書類のことです。

受遺者

 受遺者とは、遺言によって財産を取得する人のことを指します。

法定代理人・特別代理人

 未成年者にとって法定代理人とは、一般に親権者(保護者)を指します。
 特別代理人は、親権者が代理人になることができない場合等に、家庭裁判所が選ぶ代理人のことです。通常、親権者が選任を依頼します。

検認・検認済証明書

 遺言書の保管者もしくは発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認の手続を行うことが必要です。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立ち会いの上開封しなければならないことになっています。
※家庭裁判所外で開封してしまった場合には、民法により罰則が定められていますので、遺言書を発見しても、すぐに開封しないように気を付けてください。なお、開封してしまっても検認の手続きは必要となります。
※開封手続の有無は遺言の効力そのものには影響を与えません。
※検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。
 検認が終わった後、遺言の執行をするためには、遺言書の「検認済証明書」の申請が必要になります(※公正証書遺言および法務局保管制度は除きます)。

調停調書謄本・審判書謄本・審判確定証明書

 相続人の間で遺産の分割について話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の調停の手続きを利用できます。調停では、各相続人の希望する分割の意向を聴取し、解決策の提示や解決のために必要な助言により合意を目指し話し合いが進められ、合意するとその内容を証明する「調停調書」が作成されます。
 また、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続きが開始され、裁判官が遺産の事情を考慮して審判をすることになり、「審判書」が作成されます。なお、審判の場合、内容を不服として抗告することが可能なため、相続手続きに際しては「審判書」と「審判確定証明書」の提出が必要になります。

単純承認

 単純承認とは、相続人が被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことです。特に手続きを行わなければ、単純承認となります。
※「預貯金の仮払い制度」を利用して取得した預貯金は、相続財産の一部としての性質を持ちます。そのため、仮払いを受けた預貯金を自分のために使った場合は、「単純承認とみなされる行為」が成立しますのでご注意ください。

限定承認

 限定承認とは、被相続人の債務がどの程度かわからず、財産が残る可能性もあるなどの場合、相続人が相続したプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産の債務を引き継ぐ相続方法です。相続した財産以上に債務を引き受ける必要はありません。
 相続は、プラスの財産だけではなく、借金や未払金などのマイナスの財産を引き継ぐこともあります。しかし、限定承認であれば、相続財産の範囲内でマイナスの財産を引き継げばよいため、相続人は必要な財産を手元に残すことができます。
 ただし、限定承認の場合は、相続人全員で家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。また、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。
※3カ月以内に判断できない事情がある場合には、「期間の伸長の申立て」をすれば、期間を伸長できる可能性があります。
※限定承認の申述をするためには、多くの書類の準備や裁判所を通じた競売手続きなどがあるため、事前に専門家への依頼も含めて検討することをおすすめします。

相続放棄

 相続放棄は、相続人が被相続人の財産や債務を相続する権利を放棄することです。マイナスの財産が多く、引き継ぎたくない場合には、相続をすべて放棄することができます。
 また、限定承認と同様に相続開始を知った日から3カ月以内に、家庭裁判所での手続きが必要になります。
※3カ月以内に判断できない事情がある場合には、「期間の伸長の申立て」をすれば、期間を伸長できる可能性があります。

法定相続情報証明制度

 この制度は、相続発生後に法定相続人またはその委任を受けた者が相続関係図を作成して法務局に申し出することにより、法務局がその内容が正しいことを証明し、「法定相続情報一覧図の写し」を申出人に交付する制度です。
 申し出する場合は、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本(または除籍謄本)と相続人の戸籍謄本を取得し、「法定相続情報一覧図」を作成して戸籍謄本とともに法務局に提出します。法務局にて内容が正しいことを確認し、「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。
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