ピーマン
整枝、追肥、かん水、剪定で長期収穫
園芸研究家 成松次郎
家庭菜園
トウガラシのうち、辛味のない肉厚の楕円(だえん)形のものがピーマンです。また、パプリカと呼ばれているものは、赤、黄、橙(だいだい)などの着色した完熟果を収穫する品種です。高温性で暑さに強く、病害虫が少ないので栽培しやすい野菜です。
品種
ピーマンの育苗期間は70~80日と長いため、苗の購入が便利です。品種を特定することが難しいですが「京まつり」(タキイ種苗)、「翠玉二号」(サカタのタネ)などが良いでしょう。
良い苗の選び方
良い苗は、①本葉8~10枚で、双葉が付いている ②茎が太く節間が短くしっかりしている ③葉が緑色でつやがある ④一番花のつぼみが付いている ⑤病害虫のないもの、です(図1)。

畑の準備
植え付け2 週間前に、1 平方m当たり苦土石灰100gをまいて土とよく混ぜておきます。1条植えの場合は1週間前に幅70cm程度の栽培床を作り、中央に幅30cm、深さ20cmの溝を掘り溝1m当たり化成肥料(NPK 各成分10%程度)200gと堆肥2〜3kgを施しておきます(図2)。

植え付け
晩霜の恐れがなくなったら、株間50cm 程度で植え付けます。あらかじめ黒のポリフィルムでマルチをし、地温を高めておきます(図3)。

整枝・誘引
植え付けと同時に仮支柱を斜めに挿し、株を支えます。一番花が着果すると、脇芽が伸びてくるので、一番花のすぐ下から出る勢いの良い2本の側枝を残し、他は取り除き3本仕立てにします。そして、一番花より下の脇芽は早めに摘み取ります(図4)。なお、一番花は着果負担があるため、開花中に摘花します。その後、主枝または側枝に沿って1m以上の支柱2、3本を交差させて誘引・固定します。

追肥・かん水
収穫が始まる頃から、マルチフィルムの裾をめくり、1平方m当たり(約4株分)化成肥料50g程度を株元にまき、土寄せします。その後、半月置きに畝の裾に同量を収穫中休みなく与えます。根張りが浅く、乾燥に弱いので夏場は毎日かん水しましょう。
剪定
盛夏になると、枝が込み合い、葉が茂って果実への日当たりが悪くなってきます。そこで、この頃に重なった枝を剪定します。
病害虫防除
アブラムシにはマラソン乳剤、アディオン乳剤などの登録農薬で防除します。
収穫
開花後15~20日、30g程度のつやのある若い果実を収穫します。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。