サトイモ
土寄せとかん水で芋を大きく
園芸研究家 成松次郎
家庭菜園
生育適温は25~30度と高く、一方で低温に弱いため、霜で葉がすぐに傷んでしまいます。畑の乾燥に極めて弱く、一度しおれると回復が遅く、また芋の肥大中に乾燥すると、芋にひび割れが生じます。畑は耕土が深く、適度に水持ちし、かつ水はけが大切です。
品種
種芋から出た葉は、数枚重なって太い葉の束(葉柄・ずいき)を成し、この元が膨らんで親芋となります。親芋用の品種である「赤芽」「八ツ頭」「セレベス」は主にこの親芋を食べます。親芋の脇に側芽が発達して、肥大して子芋が付きます(図1)。子芋用品種には「石川早生」「土垂」などがあります。「八ツ頭」の葉柄はえぐみが少ないので、食用になります。

畑の準備
連作を嫌うため、同じ畑で3〜4年は作らないようにします。1平方m当たり苦土石灰100gを早めに全面に散布し、畝幅90cm程度とし、深さ20cmの溝を掘ります。元肥は、溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100g、堆肥2kgを施します(図2)。肥料をまいた後、5cm程度に土をかけておきます。

植え付け
中間地では地温が上がってくる4月中旬ごろから植え付けができます。地上に芽を出すまでに1カ月かかるので、暖かい場所でコンテナに仮植えし、芽出ししてから菜園に植え込むと良いでしょう。種芋は芽を上に向け、株間30~40cmとし、土を10cm程度かけます(図3)。

追肥・土寄せ
土寄せは芋の肥大に関係し、一度に多くの土寄せをすると子芋の数が少なく、かぎ形の芋になりやすくなります。土寄せが少ないと子芋の肥大が悪くなり、子芋が地上に顔を出し、芋が緑化してしまいます。1回目は5〜6葉のときに、株の周りに1株当たり化成肥料10gくらいを追肥し、高さ5cm程度土寄せします。2回目は半月後、さらに3回目はその半月後に同様に追肥し、高さ5cm程度土寄せします(図4)。

かん水
野菜の中で最も乾燥に弱いので、真夏の干ばつには毎日たっぷり与えます。時には畝間の両端をせき止めて、水がたまるようにかん水できると良いでしょう。また、敷きわらなどで土の乾燥を防ぎましょう。
収穫
「石川早生」のような早生品種では、早掘りしてお盆のときのお供え物や「衣かつぎ」として小さい芋を楽しむことができます。「土垂」や「八ツ頭」などの中晩生品種は10月ごろから収穫できますが、霜の降るまで芋は肥大します。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。