小玉スイカ
甘みが強く手頃な大きさ
品種
家庭菜園では重さ2~3kg程度の小玉スイカがおすすめです。赤肉球形では「姫甘泉」(丸種)、「紅しずく」(タキイ種苗)、「紅こだま」(サカタのタネ)など、赤肉楕だえん円形では「姫まくら」(丸種)、「マダーボール」(ヴィルモランみかど)などがあります。
種まき
温床マットなどで25~30度に加温したトンネル内(図1)で培養土を詰めた9cmポリポットに3粒ずつ種をまきます。本葉が出始めた頃には夜温15~20度に下げます。その後、良い苗を残し間引いて1本にし、本葉4~5枚の苗にまで育てます。
畑の準備
植え付け2週間前までに1平方m当たり100g程度の苦土石灰を散布し、土とよく混ぜておきます。次に、畝幅250cm、深さ20cmの溝を掘り、この溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2kgを施します。この溝を中心に土を戻して幅90cm、高さ10cm程度のベッド(栽培床)を作り(図2)、黒マルチを張ります。
植え付けと保温
風のない暖かい日に、深植えにならないよう株間80~90cmに植え付けます。植え付け後は保温と風よけのために、ビニールで30cm角の「あんどん」やドーム状のホットキャップをかぶせます(図3)。あんどんの中が茎葉でいっぱいになったら取り外します。
整枝・敷きわら・追肥
本葉5~6枚で摘心し、強い子づる4本を伸ばします。つるが伸びていく場所にわらやつるが絡むシートを敷き、つるを片方に振り向けて重ならないように配置します(図4)。つるの長さが50cm程度と果実が卵大程度のとき、1株当たり化成肥料50g程度をつる先に散布します。
人工交配・摘果
強い子づる3本に着果させるため、親づるから数えて15~20節目の雌花全てに交配します。早朝(9時ごろまで)に雄花を切り取り、花粉を雌花の柱頭になすり付けます。このとき、交配した雌花の近くに交配日を記したラベルを付け、収穫適期の目印にします。果実がこぶし大のときに変形果を摘果し、各つる1果(計3果)取りを原則とします。
病害虫の防除
茎葉が日中しおれ、茎が割れるつる割れ病には、接ぎ木苗を使います。うどんこ病、アブラムシ、ハダニなどが発生したら登録農薬で防除します。
収穫
小玉スイカは開花後(交配後)35~40日で熟してきます。収穫適期は、①巻きひげが枯れている ②果実の肩が張り光沢が出ている③果実の尻の部分がへこみ、指で押すと弾力を感じる ④地面に付く果皮が濃黄色となるなどでも判断できます(図5)。
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。