寒起こしと天地返し
農閑期に行う土作り
水はけと通気の良い土
根は水に溶けた酸素を吸って成長します。水と空気が土粒の隙間を動きやすいような土の構造が大切です(図1)。水はけを良くするには土を深く耕し、下層の固くて水の抜けにくい土層を壊します。団粒を作るのは砂や粘土をくっつける役割をする堆肥などの有機物です。寒起こしや天地返しに合わせてバーク堆肥、家畜ふん堆肥などの有機物を混入します。
寒起こし
厳寒期の1~2月に菜園を20~30cm 粗く掘り起こし、土の塊を寒気にさらす作業です。土塊に含まれる水が夜間には寒さで凍結し、日中には溶けて乾燥します。この繰り返しで土塊が次第に崩れて、ふかふかの土になります(図2)。土中の害虫が寒さで死滅する効果も期待できます。
天地返し
同じ場所で野菜を長く栽培していると、上層土には養分が蓄積し、下層土には固く根が入りにくくなっていきます。上層土には土壌病原菌や有害センチュウが増えてきます。このような畑では連作障害が発生し、野菜の生育が悪くなります。
天地返しは、表面から30cm程度の上層土とその下60cm 程度までの下層土を入れ替える土壌改良法です(図3)。普段耕す土層は軟らかでも、その下に固い土層があることがあります。これを耕盤といいます。長い間、トラクターのロータリーで耕運を続けていると耕盤ができてしまいます。天地返しで、耕盤を崩すことができます。
これらはきつい仕事なので、作業の少ない冬のうちに行っておくと良いでしょう。連作が心配な菜園では、障害を避ける対策としても考えてみましょう。
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。