小松菜のトンネル栽培
寒さでうまみが増加
品種
近年は葉が丸く、緑が濃い品種が好まれ、秋冬まきでは「はまつづき」(サカタのタネ)、「楽天」(タキイ種苗)、「よかった菜」(カネコ種苗)などが良いでしょう。
栽培期間
冬まき(12~2月)はトンネルやべたがけ資材で保温し、60~90日で収穫できます。 中間地ではほぼ通年栽培ができ、草丈20~25cmを目標に、春まき(3~5月)は30~50日、夏まき(6~8月)は20~25日、秋まき(9~11月)は30~60日で収穫できます。 生育が早く収穫遅れになりやすいため、1週間置きに少しずつまき、長く収穫を楽しむのが良いでしょう。
畑の準備
種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて畑をよく耕し、1週間前に化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2~3kgを施し、土とよく混ぜておきます(図1)。 幅70~80cmの栽培床を作り、畝に平行に条間15cm程度の種まき溝を切ります。このとき、まき溝は支柱や木板を土に押し付け、溝を付けると深さが一定になります(図2)。
種まき
種が重ならないように1cmくらいの間隔でまき、土を軽くかぶせておきます。
トンネルの被覆と管理
トンネル内の温度は晴天日の昼には高く、夜間は外気に近い温度になります。冬から春にかけては気温上昇期に当たり、容易に30度を超えるため、温度が上がり過ぎないよう換気が必要です。 資材は穴のないフィルムでは裾を大きく開けたり、開ける穴の数を増やしたりして、春に向けて徐々に換気量を増やします。有孔フィルムを使用すれば日中の高温は防げます(図3)。 トンネル内をさらにべたがけ資材で被覆すれば厳寒期の霜害予防になります。
間引き
初めは本葉が見える頃に子葉の重なっているところを間引きます。その後、葉が触れ合う程度に間引き、最後に5~6cm程度にします。間引き後は株のぐらつきを防ぐため、株元に土寄せします(図4)。
病害虫の防除
害虫の発生は少なく、病気では白さび病が発生したときは、ダコニール1000などの農薬で防除します。生育期間が短いので、農薬の使用は生育初期に限ります。
収穫
草丈20~25cm程度で根を付けて抜き取り収穫をします(図5)。収穫が遅れると葉が堅くなり食味も落ちます。なお、外葉から必要なだけかき取れば、長期に収穫ができます。
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。