余った種を保存 乾燥と低温で
種の寿命
種袋には有効期限が記されていますが、これを過ぎても発芽しないわけではありません。種の寿命は発芽能力がある期間で、種類によって寿命が異なります(表)。発芽能力は、採種後の日数が経過するにつれ低下しますが、寿命は貯蔵中の湿度と温度などの保存状態の影響を受けます。現在普及しているペレットやフィルムコートなどの加工種子は寿命低下が早いので有効期限内に使い切るのが原則です。
寿命(目安) | 野菜の種類 | |
---|---|---|
短命 | 1〜2年 | ネギ、タマネギ、ニンジン、ミツバ、ラッカセイ、シソ、スイートコーン、エダマメ |
やや短命 | 2〜3年 | キャベツ、レタス、ゴボウ、ホウレンソウ、トウガラシ、エンドウ、インゲンマメ、ソラマメ |
やや長命 | 3〜4年 | ダイコン、カブ、ハクサイ、ツケナ、カボチャ、キュウリ |
長命 | 4年以上 | ナス、トマト、スイカ |
参考文献:井上頼数編「蔬菜採種ハンドブック」(1967年、養賢堂)、日本種苗協会監修「タネ・苗のきほん」(2017年、誠文堂新光社)
種の保存
温度が下がるごとに寿命が延びますので、低いほど良いのですが、実用的には5度程度の冷蔵室内が適切です。冷凍室は長期保存に適しています(図1)。
また、湿度が低いほど種の寿命は長くなり、相対湿度30%程度が良いとされていますので、高湿度の野菜室は向いていません。実用的には、茶筒などの密閉容器に、乾燥剤と共に入れておきます。そして、これらの容器の合わせ目には粘着テープを貼ってしっかりと密閉しておきましょう(図2)。このような保存方法で、短命種のタマネギでも3〜4年は使うことができます。
種の発芽を確認
種の発芽には水分、温度、光、酸素などの環境条件が影響します。良い種とは発芽にかかる時間が短く、芽の伸びに勢いがある種です。
正式な発芽試験方法は野菜の種類ごとに決まっていますが、保存した種が使えるか心配なときは、簡易な発芽試験で確認することができます。イチゴパックなどの容器にキッチンペーパーを敷いて複数の種を置き、ひたひたになるよう水を加え、室内に置いておきます(図3)。数日後発芽してきた様子を観察します。その発芽率が半分以下なら使用は取りやめます。
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。