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シュンギク
(キク科シュンギク属)

野菜研究家、土壌医 藤巻久志
もの知り百科

 シュンギクはβカロテンが豊富で、その含有量はホウレンソウよりも多いです。おひたしやかき揚げなどにもしますが、サラダで独特の香りを楽しむこともできます。あくの少ないサラダ用の品種も開発されています。

 日本では鍋料理に欠かせない野菜ですが、食用にしているのは東アジアだけで、欧米では観賞用として栽培されています。漢字で「春菊」と書くように、春に黄色、または白・黄のツートンカラーの菊の花を咲かせます。

 原産地は地中海沿岸で、中国で野菜用に改良されました。日本には室町時代に朝鮮半島経由で伝わったので「高麗菊」ともいいます。別名が「菊菜」「新菊」「お多福」「無尽草」「不断菊」「薩摩菊」「琉球菊」「ルソン菊」「オランダ菊」「ローマ菊」「六月菊」などと、とても多い野菜です。

 大葉種、中葉種、小葉種があり、東日本では切り葉型の中葉種が、西日本では丸葉型の大葉種が好まれています。関東では「中葉シュンギク」を使用して脇芽を摘み取る「摘み取り収穫」が、関西では「株張りシュンギク」で根を付けて抜き取る「抜き取り収穫」が多く行われています。家庭菜園では何回も収穫できる「摘み取り収穫」が適しています。

 種には、種子(胚珠が発達したもの)、果実(子房が発達したもの)、仮果(花弁やがくなどが発達したもの)を用いるものがあり、シュンギクは果実を用います。種子には乾燥した果皮や果肉がくっついているため、発芽率がとても低いです。

 JAやホームセンターなどの店頭に並んでいる種袋の裏面には、発芽率が表示されています。種苗法によって野菜は品目ごとの発芽率の基準が定められています。キュウリやハクサイなどは85%以上ですが、シュンギクは50%以上で最も低いです。シュンギクは多く種まきして間引くので、2粒に1粒以上生えれば栽培にはまったく問題ありません。

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