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ササゲ
(マメ科ササゲ属)

土壌医 藤巻久志
もの知り百科

 ササゲとインゲンはよく似ていて栽培方法も同じですが、ササゲはマメ科ササゲ属で原産地はアフリカ、インゲンはインゲンマメ属で原産地は中南米です。ササゲの花は上を向いて咲き、インゲンの花は下を向いて咲きます。ササゲはインゲンよりも暑さと乾燥に強いので、盛夏に重宝されてきた野菜です。

 ササゲの語源は、さやが最初は上を向いて、ささげ物をする手に似ているからという説が有力です。漢字では豆が少し角張っているので「大角豆」と書きますが、豆はそんなに大きくはなく、小豆と同じくらいの大きさの品種が多いです。

 小豆もササゲ属で、あんこや汁粉などに利用されます。小豆は煮ると皮が破れやすく、腹が切れることは切腹に通じ、江戸時代の武士には忌み嫌われ、赤飯には皮が破れないササゲが使われました。現在でも関東地方では赤飯には小豆よりササゲを入れることの方が多いです。

 小豆は子実を利用するので食用作物に分類されます。ササゲも子実を利用する場合は食用作物、若さやを利用する場合は園芸作物の野菜になります。大豆が食用作物、未熟な大豆であるエダマメは野菜、というのと同じです。

 野菜のササゲの品種には、さやの長さが90cmにもなる「三尺ササゲ」や、豆が16個入る「十六ササゲ」などがあります。インゲンと同様に、つるあり種とつるなし種、丸さや種と平さや種があります。

 調理方法もインゲンと同じで、煮物、炒め物、あえ物、みそ汁の具など幅広く利用します。野菜としてはタンパク質が多く、ビタミン類や食物繊維も豊富で整腸作用があり、コレステロール値を低下させます。

 ササゲは平安時代に渡来して長い間栽培されてきましたが、野菜のササゲはスーパーでは見かけなくなりました。つるあり種を緑のカーテンで栽培すれば、食べることもでき、省エネにもなります。

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