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アーティチョーク
(キク科チョウセンアザミ属)

土壌医 藤巻久志
もの知り百科

 アーティチョークは欧米諸国では人気野菜のベスト10に入るのに、日本ではほとんど見かけることも食べることもないのが不思議です。

 原産地は地中海沿岸で、古代ギリシャ・ローマ時代に品種改良が進み、現在の形になりました。15世紀にイタリア南部で本格的に栽培されるようになり、欧州に広く普及しました。イタリアのメディチ家からフランス王室に嫁いだカトリーヌがアーティチョークと料理人を帯同したことが、フランス料理にアーティチョークが使われるようになった先駆けともいわれています。

 イタリアでは春野菜の定番で、旬になると山積みになって売られています。米国では19世紀末に、イタリア移民が地中海性気候のカリフォルニア州キャストロビルという地域で栽培を始めました。キャストロビルは世界のアーティチョークの半分以上を供給する大産地になり、初代アーティチョーク・クイーンはマリリン・モンローでした。

 アーティチョークの和名はチョウセンアザミですが、日本には朝鮮半島経由ではなく江戸時代中期にオランダ人によって持ち込まれました。江戸時代末期に横浜や神戸が開港すると西洋野菜の種子が次々に入ってきましたが、アーティチョークが定着することはありませんでした。

 アーティチョークは種子繁殖だけでなく、栄養繁殖の株分けもできる多年草です。花はアザミに似て紫色で、大きさは10cm以上にもなります。とてもきれいなので観賞用にもされています。

 つぼみの上部と茎を切り落として、酢を加えた湯で30分ほどゆで、温かいうちにがくを一枚一枚剝がして、その付け根の肉厚の部分にバターやマヨネーズなどを付けて歯でしごくようにして食べます。残った花床(かしょう)がよりおいしく、ナイフとフォークで切り分けて食べます。面倒なときはつぼみを丸ごと焼いても、蒸しても、揚げても食べられます。

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