グリーンピース(マメ科エンドウ属)
エンドウは硬莢(こうきょう)種(フィールドピー)と軟莢(なんきょう)種(ガーデンピー)に分類されます。硬莢種は子実を煮豆やあんなどに利用します。軟莢種には若いさやを食べるサヤエンドウと、未熟の豆を食べるグリーンピース(実エンドウ)があります。エンドウの花はスイートピーと同じ蝶形花(ちょうけいか)で、硬莢種は赤色、軟莢種は白色が多いようです。
グリーンピースはさやが食べられないので、ちょっと損をした気持ちになります。スナップエンドウを栽培すれば、サヤエンドウとしても実エンドウとしても利用できます。
エンドウの原産地は南西アジアで、黒海経由で欧州に伝わり、新石器時代にはすでに栽培されていました。完熟種子をもっぱら利用していましたが、13世紀にフランスでさやを食べる品種が開発されました。16世紀には未熟の豆を食べるようになり、18世紀に米国でグリーンピースが広く普及しました。
19世紀にはオーストリアのメンデルが、対立する特徴のあるエンドウを掛け合わせて、顕性の法則、分離の法則、独立の法則の三つの遺伝の法則を発見しました。顕性の法則は優性の法則とされてきましたが、「優性」「劣性」は誤解を招く恐れがあるので「顕性」「潜性」と表記するようになりました。
一般に豆は種子として次世代を育てるので、カリウムやリンなどミネラルを多く含み、栄養価が高いです。食物繊維も多く、特にグリーンピースは野菜の中ではトップクラスで、ゴボウよりも多いです。食物繊維は発がん物質の排出によって、がん予防の効果もあります。
缶詰や冷凍のグリーンピースは一年中食べられますが、独特の香りが楽しめるのは晩春から初夏に取れる生豆です。旬の新鮮なものはとても美味です。和洋中の料理に使えます。子どもはおいしい豆ご飯だと何杯もおかわりします。さやむきのお手伝いと、家庭の味は一生の思い出です。
藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。