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カラシナ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志
もの知り百科

 カラシナの原産地は中央アジア説が有力で、野生種はまだ発見されていません。カラシナ(染色体数n=18)はカブ(n=10)とクロガラシ(n=8)が自然交雑してできたと考えられています。このアブラナ属の関係は、禹長春博士が1935年に発表したもので、「種の合成」や「禹の三角形」といわれています。

 禹博士はタキイ種苗の研究農場長を勤めた後、食糧不足で苦しむ韓国に渡り、キムチ用のダイコンやハクサイの自給体制を整え、「韓国農業の父」と呼ばれました。日本では知る人は少ないですが、韓国では道徳の教科書に載っているので知らない人はいません。

 日本では、種子をからしとして使う黄カラシナと、葉や茎を葉物野菜として使う葉カラシナが多く栽培されてきました。カラシナの仲間にはタカナ、カツオナ、ザーサイ、レッドマスタード、セリフォンなどがあります。アブラナ属の多くは低温に遭うととう立ちしますが、カラシナの仲間は低温には左右されずに長日によってとう立ちします。

 カラシナは主に漬物にされてきましたが、おひたしや炒め物などにも利用できます。漬物にするときは、漬ける前にさっと湯通しすると辛味が生き、色がきれいに仕上がります。レッドマスタードやセリフォンなどは葉色や葉形が面白いので、ベビーリーフのサラダとしても楽しめます。カラシナの辛味の成分はアリルイソチオシアネートで、食欲増進だけでなく抗がん作用も期待されています。

 漢字では「芥子菜」と書きます。芥子はケシとも読み、ケシ科ケシ属の一年草を指します。芥子は本来カラシナを指す漢字ですが、ケシが室町時代に中国から伝来すると種子が似ているので誤用されました。

 カラシナは生育日数が短く、プランターでも簡単に作れます。

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