シカクマメ(マメ科シカクマメ属)
30年前の日本では、沖縄県民以外のほとんどはシカクマメの存在を知りませんでした。近年は秋になると直売所に不思議なサヤのシカクマメが並ぶようになりました。
シカクマメといっても豆が四角形なのではなく、サヤの断面が四角形なのです。サヤの四方に翼状のひだが付いているので、英名はウイングドビーンです。沖縄ではうりずん豆といいます。うりずんは春分から立夏までの新緑の季節を意味します。
原産地はパプアニューギニア説と東アフリカ説があります。熱帯地方原産で短日性なので、寒冷地で夏秋の日が長い北海道や東北地方での栽培は難しいです。
本州で栽培されているシカクマメは短日性が強い品種が多く、それらは10月にならないと本格的に開花結実しません。シカクマメと同じ5月に種まきしたインゲンマメはとっくのとうに収穫を終えています。今は日長に鈍感な品種も普及するようになりました。
サヤを利用するのが一般的ですが、南太平洋や東南アジアの国々では地下部の芋も食べます。芋を太らせるために、サヤが付かないよう花も摘んで食べてしまう地域もあります。
マメ科野菜はソラマメやササゲなど花がきれいな品種が多いです。特にシカクマメの花は人を引き付けます。野菜では珍しい水色の花です。
シカクマメは花も実も楽しめ、栽培期間が長いので、緑のカーテンに適します。病虫害に強く、無農薬栽培が可能です。プランターで支柱を立てて簡単に栽培できます。
世界にはサヤが紫色の品種や、長さが30cm以上になる品種もあります。日本で流通している品種は色が淡緑色で、長さ10〜15cmで収穫します。取り遅れるとサヤが堅くなり、品質が低下します。
新鮮で柔らかいサヤを天ぷらやおひたしなどにします。小口切りにしてサラダに散らしたり、スープに浮かすのも美しくて面白いです。
藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。