被覆資材を活用した野菜栽培について
被覆資材を活用した野菜栽培は、当初、苗の定植期および初期の生育促進が目的とされていました。しかし、現在は生育促進をはじめ、遮光や病害虫防除、萌芽促進、寒害防止、脱春化など多岐にわたって使用されています。今回は、用途や品目に合わせた被覆資材の活用方法をご紹介します。
用途別の被覆資材
脱春化の仕組みを活用した野菜栽培
植物は冬の低温に一定期間あたると、花芽が形成されたり、開花に至ることがあります。とう立ちと呼ばれるものが、このような状態といえます。とう立ちの「とう」は「花茎(花を咲かせる茎)」のことで、花を咲かすための花芽のついた花茎が伸びてきた状態のことを「とう立ち」または「抽苔」といいます。
植物には、自分の体を大きくする「栄養成長」と、子孫(種)を残す「生殖成長」の、2つの生育段階があります。とう立ちは、生殖成長が始まったサインです。トマトやナスなどの果菜類は、栄養成長と生殖成長が同時進行し、果実を収穫するためには花が咲くことが必要です。人為的に花芽を作るため一定期間低温にあてる技術を「春化」といい、開花や結実を促進させる作物には有効な技術とされています。しかし、ネギ、ダイコン、コマツナ、ハクサイなどの葉菜類の多くは、生殖成長が始まると栄養成長が止まり、葉が固くなって食味が落ちてしまいます。そのため、葉菜類は生殖成長が始まる前(とう立ちする前)に収穫する必要があります。
植物には、自分の体を大きくする「栄養成長」と、子孫(種)を残す「生殖成長」の、2つの生育段階があります。とう立ちは、生殖成長が始まったサインです。トマトやナスなどの果菜類は、栄養成長と生殖成長が同時進行し、果実を収穫するためには花が咲くことが必要です。人為的に花芽を作るため一定期間低温にあてる技術を「春化」といい、開花や結実を促進させる作物には有効な技術とされています。しかし、ネギ、ダイコン、コマツナ、ハクサイなどの葉菜類の多くは、生殖成長が始まると栄養成長が止まり、葉が固くなって食味が落ちてしまいます。そのため、葉菜類は生殖成長が始まる前(とう立ちする前)に収穫する必要があります。
ダイコンのトンネル栽培
ダイコンは、種子が吸水した時から12~13度の低温に感応し、花芽分化をします。花芽分化後は、高温・長日条件で抽苔が促進され開花します。トンネル被覆により、日中20度以上の高温にあてることで花芽分化を誘発する低温を打ち消し、とう立ちを防ぐことができます。
ネギのトンネル栽培
ネギの花芽分化は、夜温7度前後で最も促進されます。トンネル被覆により、日中20度以上の高温にあてることで花芽分化を抑制させ、春から初夏に収穫することが可能となります。