農薬の散布方法について
病害虫から作物を守るために使う農薬は、適正な散布を実践することで、散布回数や使用量の削減、さらには防除効果の向上にもつながります。今回は、ノズルの向きや散布圧、希釈倍率、散布時期の4つに着目してご紹介します。
ノズルの適正な向き
農薬の効果を最大限引き出すためには、株全体に農薬を付着させる必要があります。ノズルを作物に対して横向きにして上下に散布するだけでは、薬液が葉表にしか付着しません。葉裏まで散布するには、ノズルを上向きにして薬液を下から上に飛ばす必要があります。ノズルを上向きのまま株元へ差し込んで下から上へ動かし、先端までいったら上から下へ。株ごとに波のように散布していけば、葉裏も含め全体に薬液が付着します。
【例:トマトの場合】
主枝に沿ってノズルを上下させ、波型に散布する。図は後進して❶〜❸を散布している所。
❶ノズルは上向きで、下から上へ動かす。
❷主枝の先端付近にアザミウマなどの害虫がいる場合は、ノズルを下向きにする。
❸ノズルを上向きに戻し、上から下に動かす。
※農薬散布の際は、飛散(ドリフト)しないように注意してください
適正な散布圧
一般的に野菜や花の場合、1~1.5Mpaの散布圧が適正とされています。例えば3Mpaの高圧で散布すると、散布時間は短く済みますが空気の流れが強く、薬液の粒子が潰れたり、くっついたりしてうまく散布できません。また、霧になって飛んでいくことから、農薬を無駄に消費してしまいます。この他、ノズルに関しては、薬液の出る穴が摩耗して大きくなり、交換が必要となってしまいます。よって、適正な散布圧を意識することで、しっかりとした防除、さらには費用削減にもつながります。
薬剤の希釈倍率
薬剤の希釈倍率に幅がある場合、適用濃度の薄い方でも効果はしっかりと出ます。例えば、適用濃度が1,000~2,000倍であれば、2,000倍に希釈して散布します。薬剤は希釈倍率の範囲内で散布すれば効果が出ます。1,000倍だと倍のコストが掛かるため、効果が弱いと感じた時に、希釈倍率の濃い方で散布することをおすすめします。
散布のタイミング
露地では、雨の前だと農薬が流されてしまうという考えから、雨の後に農薬散布をされる方もいますが、病気予防の観点からすると、雨の前に殺菌剤を散布した方が効果的です。病原菌の多くが雨を契機として活動を始めるため、その前に殺菌剤で作物を保護し、病気にかかりづらくします。ただし、雨量が多かった際は、農薬の効果が切れてしまうことがあります。農薬の種類によって耐雨性も異なることから、散布後の経過日数や雨の降り方を考慮し、予防と治療を考えることが大切です。
殺虫剤については、害虫は雨が降っている間は活発に行動しないことから、雨の後の散布が効果的です。
殺虫剤については、害虫は雨が降っている間は活発に行動しないことから、雨の後の散布が効果的です。
農薬を使用の際は、必ずラベルをご確認の上、記載事項に基づいてご使用ください