果樹の手入れ「剪定」
多くの果樹が休眠期を迎える冬は、剪定に適した季節。良質な果実を実らせ、果樹の成長を促進するためには、剪定作業を行って樹形を整えることが重要です。今回は、剪定の基本や、それぞれの果樹に合った剪定時期について紹介します。
剪定の目的
剪定とは、果樹や野菜(果菜類)などの枝の先端を切ることや、不要な枝を根本から切り取って樹形を整える作業です。開花・着果の促進をはじめ、花芽や実を安定して着けるために必要な作業で、毎年適度に剪定を行わないと、日当たりや風通しが悪くなり、病害虫の発生にもつながります。
剪定の基本
剪定には、大きく分けて「間引き剪定」と「切り詰め剪定」があります。
間引き剪定は、枝を間引くことによって日当たりや風通しを良くするために行うものです。混み合った枝を幹部から切り取って、枝数を減らします。
切り詰め剪定は、長すぎる枝を枝先から短く切り詰める剪定のことです。枝の先を切り詰めることで、切った部分から新しい枝が出てきます。果樹は新しく出た枝に花芽が出やすい性質があるため、着果率が向上します。
剪定に適した時期
梅や柿などの落葉果樹の剪定は、葉が落ちてから発芽するまでの休眠期に行います。蕾が膨らんでから剪定すると、蕾が欠け落ちてしまいます。ブドウやキウイフルーツは、2月以降に剪定すると、切り口から樹液が出て、樹勢が弱るので1月中に剪定しましょう。カンキツ類などの常緑果樹やイチジクは、寒さの和らいだ3月に行います。
適期 | 果樹 |
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12月~1月 | ブドウ・キウイフルーツなど |
12月~2月 | 梅・柿・ブルーベリーなど |
3月 | カンキツ類・イチジクなど |
切り口を守る「癒合剤」
果樹の枝を切った場合、切り口がふさがるまでに水分や養分が流出してしまいます。これを防ぐため、切り口を保護する植物の傷薬が「癒合剤」です。また、切り口から入ってくる雑菌などの侵入を防ぐ役割もあります。果樹を健全に育成するために、積極的に活用しましょう。
樹木の切り口を保護・治癒するペースト状の薬剤です。剪定時の切り口などに塗布すると、有効成分が殺菌保護被膜を形成。樹液の流出や、雨水・雑菌などの侵入を防ぎ、病害の感染を防止します。