春に向けた生産資材消毒について
春に定植する野菜苗の準備を始める時期となりました。病害から作物を守るため、種苗や土壌の消毒を行っている方も多いかと思いますが、育苗トレイや育苗ポット、支柱などの生産資材に付着した菌やウイルスの対策も重要です。今回は生産資材の消毒方法についてご紹介します。
さまざまな伝染経路
病害は、空気伝染、虫媒伝染、水媒伝染、接触伝染、土壌伝染など、さまざまな経路から作物に伝染します。中でも人間の手や生産資材を介して起こる接触伝染は、菌やウイルスが複数の作物に付着するため感染力が高いといわれています。使用している資材を無菌にすることは不可能ですが、消毒によって感染リスクを減らすことができ、収量の安定化や減農薬によるコスト削減にもつながります。洗浄・殺菌を徹底し、清潔な資材で栽培を行いましょう。
資材の消毒方法
農業用資材の消毒剤について
今回は複数の病原菌に対して効果を発揮する「ケミクロンG」をご紹介します。ケミクロンGは農業用資材と農業用水専用の消毒剤で、希釈倍率を変えることで幅広く活用できるのが特徴です。強力な酸化剤なので、誤って使用してしまうと、資材の劣化や破損の原因となるため、注意しましょう。
ケミクロンGの使用例病害が発生した畑では、支柱やビニールポット、被覆ビニールなどの資材に病原菌が付着して越年し、翌年の感染源となる可能性があります。希釈倍率1,000倍で10分間浸漬を行うか、希釈倍率500倍でジョウロ散布や瞬間浸漬を行いましょう。
剪定用のはさみは、植物の切断面に直接接触するため特に注意が必要です。1株剪定を行うたびに、希釈倍率500倍の液にはさみを瞬間浸漬することで、感染リスクを下げることができます。
資材の消毒例
希釈した液を入れたおけなどで浸漬を行います。その後、水洗いしてください。
剪定用のはさみの消毒例
刃先が入る容器で浸漬を行います。剪定前にはきれいな布で液を拭いてください。
使用対象 | 水10ℓあたり使用量 | 希釈倍率 | 使用方法 |
---|---|---|---|
催芽箱、育苗箱、 育苗トレイ・ポット、植木鉢等 |
10g | 1,000倍 | 10分間浸漬 |
20g | 500倍 | 瞬間浸漬または ジョウロ散布 | |
剪定用のはさみ | 20g | 500倍 | 瞬間浸漬 |
種イモ切断刀 | 1kg | 10倍 | 5秒間浸漬 |
使用対象:催芽箱、育苗箱、育苗トレイ・ポット、植木鉢等
水10ℓあたり 使用量 | 希釈倍率 | 使用方法 |
---|---|---|
10g | 1,000倍 | 10分間浸漬 |
20g | 500倍 | 瞬間浸漬 または ジョウロ散布 |
使用対象:剪定用のはさみ
水10ℓあたり 使用量 | 希釈倍率 | 使用方法 |
---|---|---|
20g | 500倍 | 瞬間浸漬 |
使用対象:種イモ切断刀
水10ℓあたり 使用量 | 希釈倍率 | 使用方法 |
---|---|---|
1kg | 10倍 | 5秒間浸漬 |
※使用の際は、必ず使用方法をご確認ください
※希釈する際は手袋、メガネ、保護面等を着用して体を保護するとともに、防塵マスクを着用し、粉塵などを吸入しないようご注意ください