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営農通信Farming communication

縦穴排水で圃場の冠水被害を防ぐ

 近年は、気候の変動に伴って局地的な豪雨が頻発するようになり、1時間に100mm以上の雨が降ることも珍しくありません。圃場が冠水すると農作物の生育不良が起こり、病害等が発生しやすくなるため、余分な水を排水しやすいよう、圃場の環境を整えることが重要です。今回は、冠水被害を軽減するための、縦穴排水の有効性についてご紹介します。

冠水被害が起きる原因について

 圃場で冠水被害が起きてしまう原因は、圃場の傾斜や土質などが挙げられますが、農作業の機械化が進んだ現在では、トラクターやコンバインなどの重みで土中にできる「耕盤層」が大きな原因の一つとなっています。

縦穴排水の効果

 耕盤層ができたことによる排水不良に対して、効果を発揮するのが「縦穴排水」です。縦穴排水とは、圃場に対し垂直方向に深い穴を掘ることにより耕盤層を壊し、排水性を向上させる土壌改良の手法です。直径10cm程度の穴を、深さ50~60cmまで掘ることで、地上や地下に浸透した水を地下深くに逃がすことができます。穴にもみ殻を詰めると土による埋没を防ぐ効果があります。水が溜まりやすい場所に1カ所穴を掘ることでも効果を発揮しますが、畝に沿って2~3mおきに穴を増やすことにより、排水性が高まります

 縦穴排水は、昨今被害が拡大している、「サツマイモ基腐病」の感染拡大を防ぐ対策としても有力視されています。病原となる糸状菌は、罹患した株の上で胞子を形成し、雨水や圃場表面に溜まった水を媒介して別の個体に感染するため、排水性の改善を行うことで、感染拡大を防ぐことができます。

※縦穴を増やし過ぎたことで乾燥害が発生した事例も確認されています。穴の数は圃場の排水性を確認しながら調整してください

縦穴を掘る道具について

 縦穴を掘る方法として、ショベルなどを使い、手作業で行うことも可能ですが、たくさん穴を掘る時には「オーガ」の使用がおすすめです。オーガとはドリルのような形状をした地面に穴を空ける機械で、手持ち式や油圧式などがあります。らせん状のスクリューに沿って、穴の中から外に土が排出される仕組みになっています。

手掘り道具手持ち式オーガ油圧式オーガ
  • 溝掘り用ショベル
  • 複式ショベル
  • 穴あきショベル
  • エンジン式オーガ
  • 電動式オーガ
  • トラクター装着式オーガ
  • バックホー装着式オーガ
手掘り道具
  • 溝掘り用ショベル
  • 複式ショベル
  • 穴あきショベル
手持ち式オーガ
  • エンジン式オーガ
  • 電動式オーガ
油圧式オーガ
  • トラクター装着式オーガ
  • バックホー装着式オーガ
溝掘り用ショベル
エンジン式オーガ
トラクター装着式オーガ
※縦穴を掘る際は安全に留意しながら作業を行ってください
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