作物の生育とpH・ECの関係性について
作物を栽培する上で、土の状態を知ることはとても大切です。土作りにおいて欠かせないpHやECなどについて学び、健康な土へと近づけていくことで、収量の安定や施肥コスト低減にもつながります。良質な農産物の生産に向け、ぜひ実践してみてください。
適正なpHとは
農業でよく使われるpHとは、土壌中の水素イオン濃度指数のことを言い、酸性・中性・アルカリ性のどこに分類されるかを測る指標です。作物が育つ上で適当とされるpHは、通常5.5~7.0の値で、多くの作物はpH6.0~6.5の弱酸性土壌でよく育ちます。
pHの値 | 作物の種類 |
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6.0~7.0 | ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ネギ、キャベツ、ハクサイ、トウモロコシ、ショウガなど |
6.0~6.5 | ニンジン、カブ、カボチャ、キュウリ、ゴボウ、小松菜、サトイモ、ダイコン、ブロッコリー、ニンニク、トマト、ナス、ピーマンなど |
5.0~6.0 | ジャガイモ、サツマイモなど |
土壌条件による障害と改良法について
土壌が酸性に傾いてしまった場合
土壌が酸性になると、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの養分が吸収しにくくなり、マンガン、鉄、銅などの微量要素が溶け出し、過剰症を生じます。
酸性度を確認し、酸性を矯正する石灰質資材やリン酸資材の施用を行い、中和してください。
土壌がアルカリ性に傾きすぎてしまった場合
マンガン、鉄、銅および亜鉛などの微量要素が吸収されにくくなり、欠乏症を生じます。
硫安・硫加・塩加・塩安などの肥料の施用やアルカリを好む作物を栽培し、pHをコントロールてください。
ECについて
ECは、土壌中にある塩類濃度のことです。ECの値が高ければ、土壌中に塩類、つまり肥料分が多く入っていることを示し、元肥などの施用量を調節することができます。ただし、ECの値が高ければ良いということではなく、ECの値が高いと肥料焼けを起こし、根が枯れてしまい、水分を吸収できなくなってしまうなどの問題が起こることがあるので注意が必要です。
施肥前のECの値が0.3以下なら基準の施肥量で構いませんが、値が0.4~0.7の場合は2/3、0.8~1.2の場合は1/2、1.3~1.5の場合は1/3、1.6以上は無施用とするなど、数値を確認して肥料散布することで、土壌中の肥料分を調節することができます。
畑の状態を知るために土壌診断を
pHは簡易的に測ることもできますが、測定方法が少しでも異なると、正確な数値が出ないため、土壌診断をおすすめします。土壌診断を行うと、圃場のpH、ECの数値はもちろん、窒素、リン酸、カリウムなどの不足量も分析することができますので、JAの営農指導員にご相談ください。