緑肥作物を活用した土作り
土壌を肥沃する目的で栽培され、土にすき込まれる作物を緑肥作物と言います。連作や肥料の偏りなどにより発生する病害対策の一つとして、さまざまな機能性のある緑肥作物が導入され、効果を上げています。緑肥作物の効果や、栽培・すき込み方法などをご紹介します。
緑肥作物の効果
緑肥作物は、有機物の補給による土作りだけでなく、土壌病害やセンチュウの抑制効果、土壌侵食の防止、景観美化など、さまざまな機能を発揮します。
- 物理性の向上
土壌の団粒化が促進され、水はけと保水力が改善されます。 - 生物性の向上
土壌中の有機物が増加し、それを分解する微生物が増えることで、微生物のバランスが整い、土壌病害の抑制と土壌環境の改善が期待できます。緑肥の種類によっては、センチュウの抑制効果も期待できます。 - 化学性の向上
緑肥作物が土壌中で分解されてできた腐植には、有効な窒素成分や微量成分が含まれています。また、腐植は土壌が肥料を保持する力を増大させます。この他、マメ科作物の根に着生する根粒菌が共生し、根粒菌が空気中の窒素を固定し、土壌中の窒素成分を増加させます。
一般的な緑肥作物のまき方・すき込み方
- 播種前の圃場準備
ロータリーやハローなどで耕起・整地します。 - 播種
手播き、播種機、散粒機、ブロードキャスターなどで播種します。 - 覆土
土壌に隠れるように土を被せます。トラクターの場合は、ロータリー(低回転)を2㎝位の深さでかけ、表層のみをかき混ぜます。 - 鎮圧
ローラーで鎮圧します。ローラーがない場合は、トラクターのタイヤを代用してください。 - すき込み
緑肥作物が小さい場合や軟らかい場合、トラクターを使用し、ロータリーでそのまますき込むことができます。大型の緑肥の場合、プラウやハンマーモアなどを使用します。 - 分解促進
有機物が土壌中にすき込まれると、土壌中の微生物がそれを分解するため、多くの窒素を必要とします。
このため、土壌は窒素飢餓の状態に陥りやすくなり、微生物の働きが悪くなります。対策として、石灰窒素などを添加することで窒素成分を補い、分解を早めることができます。
土壌中にすき込まれた緑肥作物は微生物によって分解されますが、分解過程の中で一時的にピシウム菌が増殖します。そのため、すき込み後は一定期間(夏季で3~4週間)置いてから後作の栽培を行ってください。また、産地や主作物により、適する緑肥が異なります。目的に合った方法で利用してください。