ネギ類の育苗のポイントと注意が必要な病害虫
JAあつぎ管内では、長ネギやタマネギ、ニンニク、葉ニンニクなど、多くのネギの仲間が栽培されています。しかし、播種時期・定植時期のずれや、病害虫の防除が適切でなかったりと、栽培に苦労されている生産者の方が多く見られます。今回は、ネギ類の栽培における基本的事項についてご紹介します。
苗床の選び方と準備・播種
「ネギ類の発芽や生育が悪い」という話をよく耳にします。連作障害は、前年に土壌病害が発生していなければ、ほとんど気にしなくて大丈夫です。多くは、通気や排水、保水性の問題が原因と思われます。ネギ類は、根をいかに健全に育てられるかが生育を大きく左右します。排水性の悪い畑では、堆肥を1㎡あたり2kg、苦土石灰150gを1カ月前までにばらまき、20cmほどの深さまですき込んでおきます。
ネギの仲間は、発芽までは水を欲しがり、発芽後の過湿は嫌がります。苗床は畝を立て、深さ1cmほどの播き溝を付け、1cm間隔で種子をまき、5mmほど土をかぶせます。播種後は十分かん水し、発芽までは土が乾けば、毎日1回かん水します。発芽後は、すごく乾いたら、かん水する程度で大丈夫です。水分が多すぎると、苗が腐ってしまいがちなので、注意してください(畑の水はけに注意)。
除草はこまめに行いましょう。大きくなった雑草は、肥料分を吸収してしまうことに加え、引き抜く際に大事なネギの根も切ってしまいます。
苗が混み合ってきたら、間引きは早めに行ってください。
播種時期・定植用苗の大きさ
タマネギや長ネギは、播種時期と定植苗の大きさが収量と品質を左右します。
タマネギは、極早生・早生品種は9月上旬~中旬まきで、11月上旬~中旬に定植、中生品種については9月中旬~下旬まきで、11月中旬~下旬定植、晩生品種については9月下旬~10月上旬まきで、11月下旬~12月上旬定植が基本です。
長ネギについては、品種特性と作型に合わせて播種し、長さ30~40cmの苗になったら定植です。これより大きい苗は、とう立ちしやすいので注意してください。また、苗は根をできるだけ切らないように丁寧に掘り取ってください。
播種時期・定植用苗の大きさ
●ネギハモグリバエ
葉の中に幼虫が入り込み線を引くように加害します。ここ2~3年、ネギを中心としたネギ類で葉を白く枯れさせる被害が出ています(従来のものより被害が激しい系統の出現)。登録のある薬剤(ネギ:ダントツ水溶剤、タマネギ:プレオフロアブル、ニンニク:モスピラン顆粒水溶剤)に浸透性の高い展着剤を混ぜて散布するか、定植時にダントツ粒剤(タマネギ、ニンニクには登録なし)を土壌に施用してください。
●さび病
葉に黄色からオレンジの斑点ができ、盛り上がる。苗の頃からジマンダイセン(ニンニクはZボルドー)などの予防剤を散布し、発病したらアミスター20フロアブルを散布してください。
●ネギアザミウマ
アザミウマ(スリップス)の幼虫が葉の表面をなめ、白い斑点を残します。被害が初期段階の時に、ネギにはダントツ水溶剤、タマネギにはプレオフロアブル、ニンニクにはモスピラン顆粒水溶剤を散布します。