果樹・植木の接ぎ木について
休眠期を終え、樹液の流動が始まる3月下旬〜4月にかけては絶好の接ぎ木のタイミングです。難しい技術と思い込んでいたり、何度やってもうまくいかないなど、苦手意識のある人も多いようです。留意しておくポイントは少なく単純な技術なので、ぜひチャレンジしてみましょう。
接ぎ木ってどんな技術?
接ぎ木とは、土台となる植物(台木)に、違う種類の植物(穂木)をつなげる技術です。
【目的】
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耐病性が増す
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樹勢が強くなる
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一つの個体に複数の品種の花や果実をならせることができる
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授粉に適した品種を接ぐことで結実率を上げる
【原理】
植物の体内には、養水分を移動させる役割で、外皮の内側にある薄い黄緑色の「形成層」があります。接ぎ木をする場合、台木と穂木の切断面を合わせるのですが、この形成層をピッタリ合わせれば成功します。形成層がつながることにより、断面の周囲に“カルス”という植物の組織が形成され、枝と枝を完全に固定して合体します。よって、接ぎ木がうまくいかない原因は「雨や風で接ぎ木の形成層がずれた」・「カルスが形成され固定する前に穂木が乾燥してしまった」2つが主な理由です。
接ぎ木の実践方法
【用意するもの】
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鉛筆より少し太い穂木
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小刀またはカッターナイフ
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接ぎ木用テープ
【方法】
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穂木の枝は、片側30 〜 40度でスパッと1回で切り落とし、反対側を厚さ1mm程度で長さ2 〜 3cm削ぎ、2芽 残してカットします。
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台木は1 〜 3年目の若い立ち気味の強い枝を選択し、台木の形成層を出すため小刀で剥ぎます。(隙間に穂木を 差し込むので完全に切り落としてはいけません)
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両方の形成層と形成層がピッタリ合うようにしっかりと挿しこみます。
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接ぎ木用テープで断面が乾かないよう密封するように巻き付けます。
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2 〜 3週間後に目の動き出しが確認できたら、テープに切り込みを入れて完成です。
※同一樹種であれば、異品種の接ぎ木はほぼ可能です。さまざまなもので試してみてください。