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営農通信Farming communication

不稔米を発生させるイネカメムシについて

 水稲栽培で問題となっている斑点米カメムシ類の中で、近年イネカメムシの発生数が増加傾向にあります。イネカメムシは、他の斑点米カメムシ類と生態や加害様式がやや異なるため、多発している水田ではこれまでの対策から見直す必要があります。今回は、防除方法なども併せてご紹介します。

イネカメムシの生態

 成虫の体長は12~13mmの茶褐色で、冬は成虫で越冬し、水稲の出穂とともに越冬場所から直接水田に侵入してくると考えられており、水田周辺のイネ科雑草で見かけることは比較的少ないです。そのため、アカスジカスミカメなどのカスミカメムシ類に有効な水田周辺の除草は、イネカメムシに対しては効果が薄いと考えられます。
 厚木市内の発生状況は、平野部より山間地域や森林に隣接する水田に発生が多く見受けられることから、落葉の下などで越冬している可能性が高いと考えられます。

水稲への加害様式

 出穂後から加害されることによって不稔米が発生し、減収となる恐れがあります。また、カスミカメムシ類などが主にもみの縫合部や割れもみの隙間から加害して側部斑点米を発生させるのに対し、イネカメムシはもみの基部を加害し、基部斑点米を発生させます。

防除方法

 イネカメムシは、他の斑点米カメムシに比べて水田への侵入がやや早い傾向にあります。不稔米発生防止のため、出穂期以降にイネカメムシの生息が確認された場合は、速やかに防除を行ってください。また、斑点米被害防止のために乳熟初期(出穂10日後頃)にも防除を行ってください。
【防除薬剤例】
薬剤名倍率または散布量
(10アール)
使用時期および回数
スタークル粒剤 3kg 収穫7日前、3回以内
ダントツ粒剤 3~4kg 収穫7日前、3回以内
フジワンラップ粒剤 4kg 収穫30日前、2回以内
スタークル豆つぶ 250g 収穫7日前、3回以内
スミチオン乳剤 1,000倍 収穫21日前、2回以内
トレボン乳剤 2,000倍 収穫14日前、3回以内
※農薬を使う際は、必ず使用方法や注意事項を確認してください
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