水稲除草剤における「拡散型粒剤」について
水稲除草剤には、粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤の3つの剤型があり、近年はこれらに加えて「拡散型粒剤」という新たな剤型が追加されました。自己拡散することで省力化につながると、今注目がされています。今回は、「拡散型粒剤」の特徴などについてご紹介します。
拡散型粒剤とは
拡散型粒剤は、従来の10アール当たり1kgまたは3kgを使用する粒剤に比べ、極少量(10アール当たり250~500g)で済む省力型の粒剤です。高い拡散性を有しているため、風と水流によって圃場全体に有効成分が広がります。よって、1ヘクタール規模の圃場においても広範囲に散布する必要がなく、作業労力の軽減や散布時間の短縮など、省力化へ期待がされています。
拡散型粒剤はメーカーによって愛称があり、協友アグリではFG剤(アッパレZ400FGなど)、北興化学工業では楽粒(サキガケ楽粒など)、クミアイ化学工業では豆つぶ(スタークル豆つぶなど)と呼ばれています。
拡散型粒剤はメーカーによって愛称があり、協友アグリではFG剤(アッパレZ400FGなど)、北興化学工業では楽粒(サキガケ楽粒など)、クミアイ化学工業では豆つぶ(スタークル豆つぶなど)と呼ばれています。
拡散型粒剤の散布方法
〈風上1辺散布〉
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〈風上2辺散布〉
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顔に風を感じる程度(風速2m/s以上)で、1.5ヘクタール以下の整形圃場であれば、風上側の畦畔1~2辺から散布してください。
〈風上散布後の様子〉
〈風上散布後の様子〉
- 散布時の天候により、光の反射程度や、波の立ち方の変化が確認できます。
- 風下側畦畔に残渣が集まる場合もありますが、有効成分は水中に拡散しているため問題ありません。
拡散型粒剤の試験散布
令和3年5月に、睦合地区において拡散型粒剤の試験散布を行いました。
〈試験概要・条件〉
田植え日 | 5月28日(金) |
---|---|
散布日 | 5月31日(月) |
天気 | 晴天 |
散布面積 | 5.6アール×2圃場 |
散布粒剤 | アッパレZ400FG |
散布方法 | 風上2辺散布 |
散布時間 | 1分 |
〈実施結果〉
顔に風を感じる程度で風上2辺散布を行った結果、薬剤が瞬く間に拡散していくことが確認できました。散布から数日後の確認では、雑草の発生はありませんでした。散布から7日間、圃場に水を入れずに管理したことで、さらに高い効果を得ることができました。
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営農指導員による散布の様子
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散布後に拡散していく様子